2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

銀山城と杉原氏(5)

銀山城と杉原氏(5) 福山市山手町 伯耆守を官途とした杉原惣領家の活動は室町後期の伯耆左京亮親宗まで確認できる。 杉原惣領家は時綱の後、光房・直光・満平・光親と続き、歴代幕府に出仕して、将軍の近習、儀式の際の衛府侍などを勤めた。親宗はおそらく…

銀山城と杉原氏(4)

銀山城と杉原氏(4) 福山市山手町 『備後古城記』に山手村銀山城主として出てくる杉原伯耆守の「伯耆守」は、備後杉原氏にとって容易ならぬ受領名である。 杉原氏は、桓武平氏の出で、三重流平氏の光平が鎌倉幕府に出仕して御家人となり「杉原」苗字の始祖…

銀山城と杉原氏(3)

銀山城と杉原氏(3) 福山市山手町 銀山城跡の特色は、杉原氏系の縄張りの特徴と、戦国末期の山城の特徴を良く残していることである。 杉原氏系の山城の特徴は、南北方向に形成された主曲輪群に対して、直角に副曲輪群が構築され、その曲輪群の北側に「削り…

銀山城と杉原氏(2)

銀山城と杉原氏(2) 福山市山手町 銀山城跡を訪ねるには、先ず津之郷町の「弘法の水」を目指す。福山駅前から国道2号線に入り、神島橋西詰で右折、土手道を1キロほど進み、山手橋西の交差点を左折、突き当たりを右折、突き当たった県道が旧西国街道で、…

山手銀山城と杉原氏

銀山城と杉原氏 福山市山手町 私の山城歩きは中学3年頃から始まったが、今から思うと福山地方の代表的な山城に最初の一歩を印したのはこの頃のことで、幸か不幸かこのことがその後の私の運命を決めたようである。 福山市内の代表的な山城の一つ、山手町の銀…

謎の山城、木之上城址(6)

謎の山城、木之上城址(6) 神辺町三谷・東中条 山頂の東南、いわゆる「もと城」地区から西南に伸びる尾根上に構築された曲輪、堀切、井戸跡は中世山城の遺構と見て間違いない。 「もと城」は本丸を意味する地名であろう。ここは標高320?の山頂から東南…

謎の山城、木之上城址(5)

謎の山城、木之上城址(5) 福山市神辺町東中条・三谷 木之上城跡の北の山頂から東南にかけての一帯が古代山城の遺跡である蓋然性は高い。尾根上の土塁や望楼跡などは中世山城には見られない。古代山岳仏教の聖地となったらしいことも、他の古代山城の例か…

謎の山城、木之上城址(4)

謎の山城、木之上城址(4) 神辺町東中条・三谷 稜線上の土塁と望楼、謎の石列、確かに古代山城の匂いがぷんぷんと漂ってくる木之上城だが、これを『続日本紀』に出て来る「茨城」に比定するには、やや躊躇を感じる。 城址に残る石垣 豊元国氏以来、茨城は…

謎の山城、木之上城址(3)

謎の山城、木之上城址(3) 神辺町西中条 標高320?の山頂から20?下がったところにある古瓦出土地は古代の山岳仏教の遺跡であることは間違いない。平安時代に古代の国造の子孫安那氏がこの山上に伽藍を建てたという説があり(日本城郭全集・神辺町史)…

謎の山城、木之上城址(2)

謎の山城、木之上城址(2) 神辺町東中条・三谷 井笠バス中条行きの終点池の坊バス停(当時)で下車した一行は、北にそびえる木之上山を目指して歩いていった。池を回ったあたりから視界は次第に狭まり、道は山道となった。 登り口は簡単に見つかった。地元…

謎の山城、木之上城址(一) 神辺町東中条・三谷 神辺町から加茂町にかけては、旧備後国の時代、安那郡と呼ばれた地域である。安那は後に「ヤスナ」と発音されるようになったが、本来の読みは「アナ」で古く大和朝廷の時代に置かれた「吉備穴国」にちなむ由…

江良土居城と行延城 福山市駅家町 近世の諸書に記録された中世の伝承で興味深いのは岡崎義實に関する伝えである。 岡崎氏は、相模三浦氏の一族で鎌倉幕府草創の御家人として権勢があったが、「和田義盛の乱(一二一三)」で義盛に味方して滅亡した。 備後で…

山王山城と宮氏 神辺町湯野 東西に拡がった神辺平野は、東から三分の一辺りに東西千五百?、南北二千?ほどの独立した丘陵があり、東の御領から高やに続く回廊状の平野を分断している。標高百?に満たないこの山塊は真ん中が南北にくびれ東西に主峰を持っている…

中条城郭群

中条城郭群 神辺町東・西中条 神辺の中条は、新市の柏と並んで、小さな山城跡が密集し、「城郭群」として捉えることができる地域である。 城郭群の存在するのは、前に紹介した宮氏の居城今大山城から中条の谷を挟んで向かい合う東西一km、南北一、五kmの…