鳩山首相の政治資金問題がようやく峠を越えたと思ったら、こんどは幹事長の小沢さんの政治資金問題だ。マスコミは連日この問題を取り上げ、内閣の支持率は急落だと言う。

 当然だろう。国民は政治資金の問題では今まで散々「政治」に裏切られた思いだ。先の総選挙で民主党が大勝して、半世紀ぶりに「政権交代」が実現したのも、新政権にクリーンな今までの自民党政権とは「違った」政治を期待したからに他ならない。
 私が心配するのは、今回の小沢さんの問題で、新政権が取り組まなければならない諸々の政治課題がおろそかになることだ。
 鳩山政権の前途にはさまざまな課題が横たわっている。国民最大の関心事は、「景気」の先行きだ。民主党は今回の問題を早急に解決して、こうした課題に全力で取り組んで欲しい。
 さて、昨年末も東京には派遣村が設置され、利用者の内100名あまりが、就活資金を受け取って、そのまま「行方不明」になったことが話題になった。
 不景気極まりない話だが、先日テレビの報道で、彼らが都会に集まるのは、「何とか食べていける」からだという。
 都会に人が集まるのは、今に始まった事ではない。江戸は当時世界一の大都会で、幕府もこの問題では頭を悩ませてきた。東京に失業者やホームレスがいくらいるのか正確な数字は知らないが、失業率5%として東京圏に50万の職にあぶれた人々がいることになる。
 一方、過疎地には今後10年で集落が消滅する「限界集落」が400箇所以上存在するというではないか。特に中国地方には限界集落が多いと聞く。
 このまま行けば、日本列島の各地に、モザイク模様のように、無人の荒野が広がって行く事になる。「狭い日本」これは大変な損失ではないか…。
 そこで提案だ。都会の職にあぶれ、「派遣村」に集まるような人々を、こうした過疎地に送り込んではどうだろうか。
 与野党も過疎地対策には積極的だ。先月18日には3月末で期限切れとなる過疎地域自立支援特別措置法を六年延長することで合意したという。結構なことだが、内容を見ると施設の建設とか医師の確保など、今住んでいる人々の生活を守ることに精一杯で、これで限界集落の問題が解決するとは到底思えない。
 この問題を解決するには、都会から過疎地へ「人の流れ」を強制的に作ることだ。都会で職にあぶれ、未来への希望を失った人々に食料と土地を与え、かつての「屯田兵」のように限界集落に送り込む。彼らの職はむろん「農業」だ。それも今までのように「米作」一本ではない。適地適作で、「売れる」作物を作る。こうすれば食料自給率の向上にもつながり、一石二鳥だと思うのだが…。