道路標示標識を分りやすく

最近良く耳にするのは、高速道路の「逆走」の話題だ。
 例えば、こうした事例だ。2009年1月21日、東京都世田谷区北鳥山の中央自動車道下り線で小型トラックが逆走し、追越車線を走行中の大型トラックと正面衝突して小型トラックの男性運転手が死亡。幸い大型トラックの男性運転手に怪我はなかったが、この事故の約20分前に約2、5キロ離れた地点で、逆走した小型トラックを避けようとした乗用車が側壁に衝突、乗用車に乗っていた男性3人が軽い怪我をした。この小型トラックは北鳥山で大型トラックと正面衝突した小型トラックと同じ車両と想定された。
共同通信社のまとめによると、2002年から7年間の逆走の総件数は7146件。2004年の1159件をピークに、減少傾向にあるとはいえ昨年の報告事例は926件、依然として高止まりの状況だ。
また、警察庁によると、逆送による人身事故はこの間218件発生し、死者57人、負傷者350人に達している。
逆送の原因で最も多いのは、サービスエリアなどから本線に向かう際に、入口に向かうと言った「道の間違い」だと言われている。確かに、サービスエリアやランプの分岐点などわかりにくい表示が多い。山陽自動車道など交通量の多い道ならまだしも、中国道など車の少ない道では、こうした「うっかりミス」もありそうだ。筆者も最近久しぶりに中国自動車道を通ったが、前後ほとんど車を見ず、これなら逆走しても不思議はないと感じた。
逆走事故で恐ろしいのは、原因の一つに運転者の「認知症」が疑われる事例があることだ。先ほどの警察庁の報告によると、218件の内88件は高齢ドライバーによる事故だという。「車社会」も既に半世紀を越えた。高齢ドライバーもこれからますます増えることだろう。「逆走」だけではなく、「高齢ドライバー」が原因の交通事故に対する対策も緊急の課題となっている。
 逆走は、高速道路だけでは無く、一般道路でも起きる可能性がある。その原因は、高速道の場合と同じく、道路標示(標識)の判り難さだ。
 誰しも経験することだが、ランプの分岐点が近づくと、初めての場合は「緊張」する。表示がわかりにくいからだ。一般道でも国道の分岐点などでは「表示」の意味がとっさには理解できず、道を間違えることがママある。こうした時、「高齢」や「疲れ」で判断力が鈍っていれば「逆走」を引き起こす可能性がある。逆走は他人事ではないのだ。
そこで道路管理者にお願いしたいのは、道路の「表示」や「標識」をもっとわかりやすいものにしてもらいたいことだ。それにはドライバーの意見を聞く場を設けてもらうのが一番、是非検討してもらいたいと思う。