ホーコス事件の教訓

三寒四温、次第に桜の季節が近づいてまいりました

今朝の「一言」でホーコス事件を取り上げてみました。要旨は以下の通りです。ご意見をいただければと思います。

広島県福山市の工作機械メーカー「ホーコス」の元社員など4人が逮捕された。逮捕容疑は2004年11月と2006年9月に2回、経済産業相の許可が不要な低い精度と偽って税関に申告し、韓国と中国の自動車メーカーなどにMC16台を輸出した外為法違反容疑である。

昨年8月に本社工場などが家宅捜査を受けて以来、予想されていたこととはいえ、市民の受けた衝撃は大きい。何しろ「ホーコス」会長菅田秦介氏は、現職の福山商工会議所会頭として地域に大きな影響力を持っているのだから…。

今回の事件で最も問われなければならないことは、「企業コンプライアンス」とは如何にあるべきかと言うことだろう。

コンプライアンスとは一般に法律や規則など基本的なルールに従って活動を行うことである。

だが、社会には道徳と言う倫理規範があり、その最低の規範が「法律や法令」だとすれば、現在の「企業コンプライアンス」と言う概念自体、その意味を問われなければならない。公的な存在である企業には、もっと厳しい倫理が要求されるのではないだろうか。

このような観点からすると、ホーコスはその最低の企業コンプライアンスさえもクリアーできなかったことになり、極めて社会的な責任は大きい。

企業の目的は「利潤の追求」にあるとする資本論の定義は間違いではない。だが、其の前提として、公正なルールに従って活動するということを忘れてはならない。日本には「商人道」というものが存在した。「何をしても良い、儲けさえすれば良いのだ」という考えは、卑しいものとして軽蔑されてきた。

我々は今一度、この伝統的な「商人道」に立ち返るときが来たのではなかろうか。ホーコス事件の教訓である。