これからの「まちづくり」

これからの「まちづくり」
郊外のショッピングセンターが大勢の客でにぎわう一方で、「まち」の中心にある昔ながらの商店街はシャッターを下ろし、人影もまばら…。全国いたるところで見られる光景である。福山も同様だ。久しぶりに平日の本通りを除いてみると、がらんとしたアーケード街は、暗くうつろだった。
今後の課題は、このさびれきった商店街を如何に活性化させるかだ。この現状に、政府もやっと重い腰を上げた。郊外での大型商業施設の出店を原則禁止する改正都市計画法が施行された。すでに改正済みの中心市街地活性化法大規模小売店舗立地法とともに「まちづくり三法」の見直しが出そろった。改正都市計画法は、延べ床面積一万平方メートル超の大型店の郊外出店を規制する。中心市街地活性化法は、街の中心部に多様な都市機能の集積を促す。いわば、ブレーキとアクセルを兼ね備えた仕組みだ。寂れる一方の商店街再生の切り札になることを期待したい。
だが、現実は甘くない。法律が整ったとしても、商店主の意識改革が必要だ。品ぞろえや価格、接客態度などに工夫を凝らし、魅力ある店づくりに努めなければならない。また、「協働のまちづくり」を進める行政のバックアップも欠かせない。
中心市街地の衰退は相当深刻だ。七年前に大規模小売店舗法が廃止されて以降、郊外を中心に大型店の出店ラッシュが起き、既存商店街の低迷に拍車がかかった。「大型店を野放しにしたから客足が落ちた」という商店主も多い。だが一方、市民の中には「出店規制すれば、商店街ににぎわいが戻るのか…」という声もある。どちらも間違いではない。
中心市街地のにぎわいは、商業の活性化だけで論じられない。住宅、職場、病院、学校など多彩な都市機能が有機的に結びついてこそ、商業は発展する。
バブル経済をへて、人々の暮らしは変わった。休日はマイカーで郊外の大規模店などに出掛け、買い物や映画、食事を楽しむというスタイルがすっかり定着した。しかし、少子高齢化が急速に進む中、車に依存する「まちづくり」は転換点を迎えている。広く拡散した都市やニュータウンよりも、さまざまな機能が一定地域に集積され、だれもが使いやすい「コンパクトシティー」を目指すこと。これが、これからの「まちづくり」の主流となる。
現在、福山では繊維ビルの再開発に目処が付き、伏見町の再開発も遠い先のことではないだろう。福山の中心市街地の活性化には、これら再開発計画の中に、如何にコンパクトに「都市機能」を収容かにかかっている。