新設大学の校舎は既設のものを利用すべきだ

新設大学の校舎は既設のものを利用すべきだ
福山市の平成20年度当初予算案と重点政策・主要事業が2月12日に発表され、現在開催中の福山市議会で審議されている。中でも注目されるのが福山市立女子短期大学四年制大学にして開校される市立の四年制大学の設置場所だ。
市は昨年12月に策定した「大学設置基本構想」の中で「備後の中核都市としてさらに発展する上で、人材育成や地域活性化に寄与する四年制大学は大きな意義がある」として、市立女子短期大学を廃して学生1000人規模の四年制大学を設ける決意を改めて明示し、福山港内港(港町)の市有地約1、3ヘクタールを候補地として検討中と発表した。
市立女子短期大学を廃し、男女共学の四年制大学を設置すると言う案には、私も諸手を挙げて大賛成である。短期大学には諸資格の取得に制限が多く、今の時代にそぐわない点も多い。しかも「女子」のみに門戸を開いている。「市民の大学」としては不適格であろう。
だが、市が候補地として発表した福山港内港埋立地というのは、如何なものか。
まず現在ある施設を捨てて新たに校舎等を整備するには莫大な予算がかかる。少子化の中で大学は冬の時代に入っている。地方の大学の中には定員の充足率が5割に満たない学校が続出している。こうした状況の中で新たな大学を設置するのは「冒険」である。学生が集まらなかったらどうするのか、その時には投資が無駄になり、負担だけが市民の肩に圧し掛かる。既設の建物設備を最大限利用したほうがこれらの危険を回避することが出来るのではないか…。
また、福山内港の埋立地に大学を設置した場合、学生の流れはどうなるのか、周辺から通学する学生は駅から徒歩又はバスで通学することになるが、駅と大学の途中には福山最大の歓楽街があり、このようなコースで通学させるのは学生の学ぶ環境としては決して好ましいことではない。ただ、市有地のまとまったものがそこにあるからという理由で候補地とされたのであれば、再考を求めたい。
それよりも、既設の女子短大の施設と駅前周辺の建物、例えば「ロッツ」の2フロアほどを大学の校舎として使用するという考えはどうだろうか。学生は緑に囲まれた今の校舎で教養課程やサークル活動を行い、専門課程に進むとロッツの校舎で学ぶ、この方法を取れば、大学の設置費用も少なくて済み、中心市街地の活性化にもつながると思う、
福山は「風俗の街」として全国的に有名だと聞く。市立高校の目の前や、小学生が社会見学に訪れる「見る見る館」の向かいにラブホテルがある、という轍だけは踏まないようにしてもらいたい。