議員報酬の見直しを 
今回も引き続き地方議会について考えたい。
地方議会でいつも議論されるのは議員の「報酬」の問題だ。
この問題について、つい先日、広島県の西端に位置する大竹市議会で、注目される採決があった。
市議の期末手当の額を「月額報酬を20%加算した上で支給月数を掛ける」と定めた条例の改正を求め、大竹市の市民団体からあった直接請求に基づく提案を、賛成少数で否決したのだ。
「財政状況は極めて窮状、非常勤の議員報酬は見直すべき」との呼びかけで集まった有効署名は4039名。その市民の声を、議会は賛成少数で否決してしまったのだ。
採決に先立って討論があり、賛成3人、反対5人の計8市議が意見を述べたという。
賛成派は「この半年間で議会が開催されたのはわずか20日間」と指摘、「議員活動と手当が見合うものなのか」と疑問を呈した。
反対派は「議員定数を減らすなどし、総経費を削減している」など反論があったという。
全国各地の地方議会で、議員報酬を見直す動きは多い。
名古屋市議会は、改選で河村市長派が大勝し、報酬を半減する条例が可決された。
それでも年収800万というのだから、一般市民にとっては雲の上の存在だ。
全国804市の平均報酬月額は、議長51、79万円、議員42、05万円。
人口5万人未満の254市に限ると議長40、79万円、議員32、67万円となる(09年末現在、全国市議会議長会調べ)。
これに対し人口2万8949人(4月1日現在)の大竹市は議長47、3万円、議員37万円で、若干高めと言えようか…。
それにしても、報酬を下げようというのではない、単に期末手当の加算を廃止しようとするだけでこの有様だ。
一体全体、地方議員のこの「専業化」は正しい傾向なのだろうか。
議員を職業にしてしまえば、その報酬で生計を立てなければならない。
そうなれば報酬は多ければ多いほどいい。
だが、一般常識からして、年間1、2ヶ月の活動で一般人より高い月収をもらうというのは異常である。
非常勤の特別公務員というなら、外にも「保護司」「民生委員」の皆さんがいるが、報酬をもらっているとは聞いていない。
自治会などの役員さんも、会長クラスになると多忙であるがボランティアが原則だ。
ヨーロッパの地方議会では議員は原則無報酬と言うところもあると聞く。
我々は今一度、地方議会のあり方を議員の報酬を含めて見直すべきではなかろうか…。
なぜ議員に何十万円もの月額報酬を渡さなければならないのか。
その上、「政務調査費」なる意味不明のお金も出ていると聞く。
金になるから金を出しても議員になりたい。この悪循環を断ち切らねば地方議会の未来はない。
中国ビジネス情報』7月10日号「話題を追う」より