県議会の存在意義とは 
最近、地方議会に関連したニュースが紙面を賑わせている。中にはとんでもない不祥事を起こした議員もいる。
無免許運転の現行犯で逮捕された正木篤広島県会議員だ。
新聞報道によると正木議員は無免許で自動車を運転したとして、6月1日午前9時ごろ、広島市安佐北区亀山南2丁目の路上で現行犯逮捕された。
呆れたのは、この県会議員は10年近く前に免許証を取り消され、以後無免許運転の常習者であったことだ。
県警によると、正木容疑者は2003年に免許取り消し処分を受け、当初、署員の質問に対し「免許証を忘れた」などとうそを言ったり、妻の名前をかたったりしたという。
しかも、この県議、辞任勧告を受けても有権者からの期待に応えるため「辞めない」というのだから言うべき言葉もない。
このような県会議員を生んだ背景には、県議会の「地盤沈下」があろう。
本来、県会議員は市町村議会議員に次いで身近な存在であるはずだ。ところが、広島県においては、特に広島や福山などの政令市・中核市においては、議員の中では一番遠い存在になっている。
一体全体、彼らは何をしているのか。中山間地域では彼らの活躍する余地もあろう。
だが、広島市福山市、特に広島市では県議の活躍する余地はほとんどない。
なぜならば県と政令市はほとんど対等な自治体であるからだ。
笑い話になってしまうが、広島市では県議より市議のほうが報酬でも上だそうだ。
政令市や中核市が誕生したのは、無論住民に対する行政サービスを向上させるためだ。
市が行政を行うにあたって、一々県に伺いを立てて決済を受けなければ何事も行えないようでは、迅速で充実した行政は実施できない。
また、「平成の大合併」もこの観点から実施されたはずだ。
自治体の規模を大きくすれば、より経済的な行政サービスを行える。
結果、政令市や中核市以外の自治体にも県の持つ行政権が委譲されつつある。
つまり、現在、県自体の存在意義が問われているのだ。
ここで県議が為すべき仕事とは、まずこれからの県行政のあり方であろう。
道州制への展望も議論しなければなるまい。
県が存続するかどうかが問われている今、このような県会議員がいるのは問題だ。
早急にやめてもらいたい。
また、県議会の動向で聞こえてくるのは、理念や政策もない、議会の主導権を争うのみの「派閥争い」だけだ。
これでは県議会の存在感が薄れるのは当たり前だ。
もっと県民の将来を見据えた真摯な議論を期待したい。
身近なところでは鞆港埋立架橋の可否という長年の懸案事項もあるはずだ。
中国ビジネス情報』7月1日号掲載