新たな「ねじれ」をどうする

 16日の鳩山内閣発足まで、大きな「山場」となると思われていた二つの課題はどうやらクリヤーされたようだ。
 一つは民主党勝利の最大の功労者小沢一郎氏の処遇だ。今回の総選挙で当選した「小沢チルドレン」とも「小沢ガールズ」とも呼ばれる民主党の新人議員は40名をくだらない。彼女(彼ら)を合わせると、党内の小沢系の議員は150名に達すると言われる。
小沢氏の動きによっては、発足する新政権は、鳩山・小沢の「二重政権」となり、両者が対立すれば、即政権の危機となる。この課題は、小沢氏が幹事長に就任して、来年の参議院選対策に専念し、政策に口を出さないということで決着がついた。
 民主・社民・国民新党3党連立問題も、9日社民党の強い要求を容れて、安保・外交政策の合意を「玉虫色」の表現にすることで決着がついた。
 この稿を書く時点で決まった岡田外相、菅副総理兼「国家戦略局長」、或いは小沢氏とも近いという平野官房長官、という布陣を見ると、鳩山新政権の前途は洋々のように見える。果たして国民は、三年ぶりに安心して国家の舵取りを任せられる内閣を得たのであろうか…。
 私が危惧するのは、これから起こるであろう、国と地方の「ねじれ現象だ。
 例えば、我が広島県はどうか。全64議席の内、民主党系の「民主県政会は15人に過ぎず、分裂しているとはいえ、自民系の議員が43名という圧倒的多数を占めている。福山市議会でも46人の定数の内、新政権を構成する民主・社民系の議員は12名に過ぎない。
 要するに、地方政界では、相変わらず自民党が圧倒的優勢を保っているということだ。
今回の総選挙で民主党が圧勝したことにより、参議院衆議院の「ねじれ現象」はかろうじて解消されたが、新たに地方と中央の「ねじれ現象」が始まったわけだ。
 自民党の政治システムは、市町村会議員という広範な裾野をピラミッドの底辺とし、そこから民意や地方の要望を汲み上げて、50年に及ぶ長期政権を維持してきた。前回の参議院選挙以来の自民党衰退現象の影には、小泉構造改革の一環であった「平成の大合併」による地方議員の減少があったことも事実だ。
 確かに民主党はこの度の総選挙で、308議席獲得という記録的な勝利を収めた。だが、その「足」は、「地方」という多くの国民が暮らす「地」についているのだろうか…。この度の「3党合意」で「国と地方の協議を法制化し、地方に権限を大幅に委譲する」と謳っている。だが、民主党の言う「地方」とは具体的に何を指しているのか。わかりやすく説明してもらいたいものである。