行政委員の報酬見直しを

行政委員の報酬見直しを
滋賀県が労働、収用、選挙管理の各行政委員に月額報酬を支給しているのは違法とした大津地裁判決を受け、各地でその見直しが始まった。
広島県でも先々月から、行政委員の報酬の在り方や活動のPR策の検討に着手したと報じられている。
月1度、2時間の会議に出席するだけで20万円の給料をもらう委員など、報道や市民団体の調査で明らかになった各行政委員の勤務実態と月額報酬の乖離は、市民感情から言って非常識極まりない。
 行政委員は地方自治法などで規定された非常勤の特別職で、広島県では教育、公安、労働、収用、選管など9つの委員会があり、条例上の月額報酬は教育、公安委員の23万4千円など、6万4千円から28万6000円(監査委員)だという。
一昨年から、財政難を理由に一律10%をカットしたというが、それでも毎月67人に計約1080万円が支払われているという(中国新聞2/5朝刊)。
 各委員会の事務局によると定例や臨時の会議は月平均0.4から3.8回に過ぎないという。
 勿論、これ以外にも打ち合わせや、催しへの参加など拘束される時間もあるだろう。
だが、ほとんどの委員会は事務局が会議や活動の下準備を行い各委員は会議で採決を行うだけと言うのが実態である。ちなみに、わが福山市の教育委員の月額報酬は14万円(平委員)から17万円(委員長)と条例で定められている。
 地方自治法は行政委員の報酬を「勤務日数に応じて支給する」とするものの、「条例で特別の定め」ができるとの条文に基づいて、都道府県の大半が条例による月額制を採用している。これに対して大津地裁は、「月に数回の会議に出るだけで20万円前後の報酬を得るのはおかしい」との原告側の主張を認め、月額報酬は違法としたわけだ。
行政委員会の委員の多くは、会社社長、弁護士や税理士、大学教授など、経済的にも恵まれた「学識経験者」であり、「報酬」で生計を成り立たせている人はほとんどいない。
汗水たらして必死に働いても年収が150万円以下にしかならない非正規労働者が巷に溢れ、景気の悪化でその仕事さえ奪われている現状だ。
「月に数回程度の会議出席で、年200万円」という実態は、このままで良いはずがない。
行政委員は、本来職業を持った者が自身の見識を以て公共に奉仕するものある。無報酬が原則のはずだ。委員の中には教員や公務員上がりも多いと聞く。
もし、この制度が公務員の隠れた天下り先となり、高い報酬が設定されているとしたらさらに問題だ。早急に各委員の報酬を、日当か実費支給に改正すべきである。